有為転変

半分、ふざけ。

マルチ商法(ネズミ講)に誘われた話

大学3年生の時である。

僕のLINEに1通の通知が入った。

 

「久しぶり!」

「飯でも行かん?」

 

小学から中学までの親友からである。

友達が少ない僕にとって、このLINEは特別な存在感を放っていた。

 

もちろん返事は

 

「おけ!」

「今週いつ空いてる?」

 

久しぶりの待ち合わせに胸躍らせながら、駅のホームで彼を待つ俺。

まるでデート前の女の子状態である。

 

 予定時刻に彼は現れ、早速近くの居酒屋に行くことになった。

 

居酒屋でのサイコロトークは、順当に「小中時代の話」「大学生活の話」に転がっていき、 気づけば「将来についての話」に転がっていた。

 

 

友達「もうそろそろ就活やんなー」

 

俺「せやなー、でも理系やし大学院も考えてんねん」

 

友達「大変やなー、てか働かずに毎月不労所得で生活できたらいいよなー」

 

俺「それはいいな」

 

友達「実は今、そうやって生活したくて、今頑張ってんねん♪」

 

俺「えっ?なにそれ?」

 

友達「◯◯っていうところの英会話教室やねんけど、そこで、入会金10万円払って、毎月1万円で英会話受け放題!しかも、友達誘って、その友達が入会してくれたら、お金が入ってくるようになるねん♪」

 

 

 

この瞬間まで、「将来についての話」というトークテーマで話していたつもりだったが、実際は「マルチ商法に誘う話」というテーマに転がっていることに気づく。

僕からすると 「マルチ商法に誘われた話」である。

 

 

俺「でもそれマルチ商法のやつじゃないん?」

 

 マルチ「最初は怪しいかなと思っててんけど、テレビ局の横のビルにあるし、〇〇の公式スポンサーになってるから安心して!入るなら今やで!入会金はホンマは30万やねんけど、会員1万人までなら10万で大丈夫やねん!今がチャンス!」

 

俺「へー、でもそんな誘える友達おらんし、英会話も興味ないからええわー」

 

マルチ「あ、そうなん。でもお世話になってる人めっちゃいい人やし、英会話もやってみなわからんから1回話聴きに行こーや!」

 

もう、俺のことを金としてしか見ていないのである。

 

この後も、何度断ってもひたすら勧誘でうるさかったので、なんぼのもんじゃいとの気持ちで、テレビ局の横にあるビルに行くことを約束したのであったが、結局何かと理由をつけて断り続けた。

さらにその後もパーティーやらなんやら誘われたが、いまでも無視している。

 

マルチ商法自体は、得意な人にとっては良い商売なのかもしれないが、大多数の人にとっては、あまりメリットのある仕事では無いように思える。

しかも、実際に、昔からの友達に勧誘される経験をした僕からすると、シンプルに嫌な気持ちになるし、その友達とは縁を切りたくなる。

もし、勧誘されて、マルチ商法に手を出そうと思っているのなら、夢ばかり見ず、自分の能力を見返して、本当にこの仕事をやって正解かどうかを見極めなければならない。